死後離婚して苗字を変えたとしても子供と義両親との関係は続く
今真剣に死後離婚をお考えの方は、手続き後苗字を変えなきゃいけないのかと不安に思う方がいるかもしれません。
またもしくは苗字を変えたいと思われている方もいるかもしれません。
苗字を変えるというのはそう簡単な事ではありません。
ましてやお子様がいる場合、ご自身だけでなくお子様の苗字も変わるとなると手続きも簡単にはいかないのは想像に容易いでしょう。
死後離婚を行う際にはどういう手続きが必要で、どういうことが予想されるかを十分に知る必要があるのです。
- 死後離婚しても遺族年金や遺産相続権もそのまま
- 苗字を変える事ができるのは自分だけ
- 子の苗字を変える場合別の手続きが必要
- 死後離婚しても子は婚族と関係を絶つことは出来ない
もしもあなたと亡くなったパートナーとの間に子供がいなければそれほど面倒なことはないのですが、子供がいる場合は複雑になってきますので注意が必要です。
死後離婚しても戸籍も姓もそのまま
では実際死後離婚をすると戸籍や姓はどうなるのでしょうか?
まず、死後離婚とはどういうものかを知りましょう。
死後離婚は実は造語であり離婚届を出して離婚するというものではありません。実際は、死別したパートナーの家族と縁を切る為の婚族関係終了届というのが正式な名称です。
死別した場合、夫婦の婚姻関係はその時点で終了しているため離婚する必要はありません。その為離婚せずに再婚できるわけです。
ただその後パートナーの家族との縁は切れずに続きます。パートナー亡き後、婚族との関係に終止符を打つ事を死後離婚といわれているのです。
実際夫婦の婚姻関係は終わっていても、再婚しない限りは戸籍も苗字も遺産相続権もそのままです。
また遺族年金も変わらず受け取ることが出来ます。本人が死んだ時、再婚した時、養子になった時、子がおらず30歳未満で遺族年金のみ受給し、受給権が生じた時から5年が経過している時以外であれば遺族年金は受け取れるのです。
戸籍や苗字はこれと言った決まりがないだけのため、もちろん戸籍を変えることも、苗字を旧姓に戻すことも出来ます。
苗字を変える場合の手続きと書類
では実際、苗字を変える場合はどんな手続きと書類が必要なのでしょうか?
まず、苗字を旧姓に戻す場合、ご自身の本籍地、もしくは住所の市区町村役場に復氏届を提出する必要があります。その際、届けを出すのは本人であり、復氏届のほかに印鑑、戸籍謄本(結婚前の戸籍に戻す場合は実家の戸籍謄本)が必要になります。
この復氏届を提出すると旧姓に戻ります。この苗字を変えるか変えないかはご本人が決める事が出来ます。
もちろんこの苗字の変更に家庭裁判所や、婚族に同意を求める必要もありません。そして苗字が変わっても婚族との関係は残るので苗字を変えただけでは婚族との縁を切る事が出来ないので、婚族関係終了届を提出することが必要になるのです。
また、もし結婚前の戸籍に戻りたくない場合は分籍届を提出すれば新しい戸籍に移すことが出来ます。
子供がいる場合は苗字を変更しない方がいい場合も
苗字を変更することでちょっと厄介になってくるのが、お子様がいる場合です。
上記のように復氏届を提出して苗字を変更出来るのは本人だけです。
その為、復氏届を提出してもお子様の戸籍、苗字はそのまま変わりません。
もしお子様の戸籍や苗字も変更する場合は、また違う手続きが必要になります。その際にはまず家庭裁判所に行き、子の氏の変更許可申立書を提出して許可をもらいます。その後、本人の戸籍に入籍届を提出すれば変更することが出来ます。
ただその場合でもお子様は婚族と関係を絶つことは出来ません。
死後離婚で婚族関係終了届を提出して有効になるのは本人だけです。
という事は、子供には孫として義両親に対する扶養義務が発生する恐れがあります。ご自身がこの扶養義務から逃れてもお子様にその義務が降りてしまうのです。
もし、義両親に介護が必要になる場合や、生活保護受給者になってしまった場合、お子様に負担がかかる可能性が出てきます。
また婚族にお金のトラブルがあるような場合もお子様が巻き込まれる可能性が多いにあります。
そのためお子様がいる場合は、ご本人の意思だけでなくお子様とパートナーの両親との関係も尊重した上で行う必要があるので慎重にならなくてはならないのです。
まとめ
死後離婚を行なっても、戸籍や苗字、また年金や遺産などを受け取る権利はなくなりません。
またそこで戸籍や苗字を変えても、その権利を失うことはありません。その点ではご本人の意思次第で変更も、そのままの姓を名乗ることも出来ます。
ですがお子様がいる場合はよく考えて行う必要があります。
もともと関係が疎遠であればまだしも、近くに婚族がいる場合は、余計な悩みを増やす可能性も出てきますので第三者に話を聞いてもらう、お子様ともよく相談して決めることが必要になってくるでしょう。